勝率の高い投資方法として、近年投資家たちの注目をあつめている「IPO投資」。
他の投資方法に比べるとリスクの少ないIPO投資ですが、株価が上昇しやすい銘柄を選ぶことで、さらに効率よく利益を獲得することができます。
今回はそんな銘柄選定の基準のひとつとして、「吸収金額」についてご紹介していきます。
IPO投資に興味のある方は、最後までぜひお付き合いください。
目次
吸収金額とは
吸収金額とは、企業が新規上場時に調達した資金の総額のことを指します。
吸収金額は以下の計算式で求めることが可能です。
予測していた需要を遥かに超える場合、追加販売としてオーバーアロットメントが実施されますが、その金額も「新規発行株式数」に含めて計算をおこないます。
実は、ここで算出された金額がIPO投資の銘柄選定に大きく関わっています。
吸収金額が少ないほど株価が上昇しやすい理由
IPO株は、吸収金額が少ないほど株価が上昇しやすいと言われています。
特に、吸収金額が10億円未満の企業は「小型案件」として注目銘柄になることが多いです。
ここでは、吸収金額と株価の関係についてかんたんに説明していきます。
需要の集中
吸収金額が少ないということは、発行株式数が少ないことを意味します。
上場した株式を購入したい方が常に一定だとすると、発行株式数(=供給)が少なければ少ないほどその株式へ需要が集中していき、需要が集中した企業の株価は上昇していくため、それを見込んで多くの投資家が吸収金額の少ない企業への投資をおこないます。
成長への期待
吸収金額の少ない企業は企業規模が小さいため、大企業に比べるとこれから成長する可能性が大きいです。
年商1兆の企業より1億の企業のほうが、売上高を倍にするのはかんたんですよね。
そして、上場企業の株価は自社の企業規模の拡大に比例して上昇していきます。
IPO投資をおこなう投資家たちは株価が成長する見込みのある企業に投資をするため、吸収金額の少ない小型案件には非常に注目が集まります。
吸収金額の少ない企業の探し方
IPO投資は勝率が高いことで人気のある投資方法ですが、100%利益が出るわけではありません。
そこで、より利益の出やすい「小型案件」を選んでブックビルディングに申し込み、投資の精度を向上させましょう。
吸収金額が少ないベンチャー企業は、東証一部などの大きな株式市場ではなく「東証マザーズ」や「JASDUQ」のような新興市場に多く上場します。
IPO投資に挑戦する際は、上場する証券市場の種類に注意することで効率よく有望なIPO銘柄を探し当てることができるでしょう。
なお、大阪や札幌などの地方市場に上場する銘柄は売買される取引数が少なく値動きが激しくなる傾向が強いため、はじめのうちは避けておくのが無難です。
吸収金額を確認する方法
吸収金額の少ないIPO銘柄には、供給量の少なさや値上がり益への期待から多くの投資家たちの需要が集まります。
IPO投資における重要な判断材料である吸収金額ですが、先ほど述べたように複数のデータから数値を算出しなければなりません。
吸収金額の計算に必要なデータは、株式市場の公式HPから確認することができます。
この画像は、日本取引所グループの公式サイトのものです。
タンゴヤ(株)を例に計算してみましょう。
①仮条件:1,540~1,600円
②新規発行株式数:140,000
②売り出し株式数:70,000(オーバーアロットメント:31,500)
(140,000+70,000)×1,540~1,600=3億2,340万~3億3,600万
計算によると、タンゴヤの吸収金額はおよそ3億円だとわかります。
人気の「小型案件」ですね。
ブックビルディング参加前は公募価格が確定していませんが、仮条件でもおおよその金額を知ることが可能です。
ブックビルディングに参加する際は、必ず吸収金額を計算してから申し込みに臨むようにしましょう。
まとめ
今回は、IPO投資をする上で大事な指標となる「吸収金額」について紹介しました。
- 吸収金額とは、企業が新規上場時に調達した資金の総額のこと
- 吸収金額が少ないほど需要が集中しやすく、株価も上昇する傾向にある
- 吸収金額10億円未満の「小型案件」には、成長への期待から投資家の注目が集まる
- 「小型案件」はJASDUQや東証マザーズなどの新興市場に多く上場している
- 吸収金額は株式市場の公式HPを利用して算出する必要がある
吸収金額は初値との関係が非常に深く、上場後の株価に多大な影響を与えます。
計算する手間こそかかりますが、吸収金額は有望なIPO銘柄を探し出すための重要なファクターになります。
IPO投資をこれから始める方は、必ず吸収金額を計算してからブックビルディングに挑戦するようにしてください。