みなさん、自分の投資した新規上場企業の株価が急落した経験はありませんか?
もしかしたら、その株価の変動には「ベンチャーキャピタル」が関わっていたかもしれません。
今回は、IPO銘柄の株価に大きな影響を与える「ベンチャーキャピタル」について解説していきます。
銘柄の選定やIPO株の売り時に不安を感じている方は、この記事を参考にしてください。
目次
ベンチャーキャピタルとは
ベンチャーキャピタルとは、未上場のベンチャー企業に投資をすることで、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社のことを指します。
返済義務のある「融資」をおこなう銀行とちがい、ベンチャーキャピタルは直接資金を回収できない「出資」を新興企業に対しておこないます。
金融機関や政府系機関が運営主体であるベンチャーキャピタルも存在し、資金出資の目的もそれぞれ異なります。
新興企業にとっては、上場前に資金供給を受けられるため非常にメリットの大きい存在です。
ベンチャーキャピタルが上場企業に与える影響
ベンチャーキャピタルは、多額の資金を出資することで上場企業の成長を助けています。
上場企業からすると心強い味方であるベンチャーキャピタルですが、投資家からするとベンチャーキャピタルの影響力はデメリットにはたらく場合もあります。
上場企業の売上高との関係
ベンチャーキャピタルは資金出資をおこなうことで、上場企業の成長を促します。
上場企業を成長させ効率よく資金回収をするために、育成支援をおこなうベンチャーキャピタルも存在します。
一橋大学の岡室准教授の調査によると、新規上場企業のIPO前後の売上高成長率はベンチャーキャピタルの持ち株比率が高いほど高くなるそうです。
引用元:証券アナリストジャーナル
上場企業の株価との関係
ベンチャーキャピタルは上場前の企業に投資をし、上場後に保有していた株式を売却することで利益を獲得します。
ベンチャーキャピタルの持ち株比率が高い場合、一度に大量の株式を売却することで株価は急落するおそれがあります。
初値が公募価格を超えれば超えるほどベンチャーキャピタルは株式の売却を早める傾向にあるため、個人投資家は初値での売却を心がけましょう。
IPO投資の際にベンチャーキャピタルについて気をつけるべきポイント
ここでは、ベンチャーキャピタルが株価に与える影響を考慮してIPO投資に参加する際のポイントについてかんたんに説明していきます。
「目論見書」でロックアップの有無を確認
「ロックアップ」とは、創業者やベンチャーキャピタルによる上場直後の株式大量売却を防ぐ制度のことを指します。
株式の大量売却がおこなわれると株価は急落してしまうため、IPO投資をおこなう際はロックアップの有無を事前に確認しておきましょう。
上場直後の株を購入して値上がり益を狙う「IPOセカンダリー」については、ベンチャーキャピタルの持ち株比率が高いときにはなるべく避けてください。
なお、ロックアップの有無はEDINETや証券会社のHPに掲載されている「目論見書」で確認することができます。
「5%ルール」と「変更報告書」
上場企業の発行済み株式数の5%以上を保有する株主は「大量保有報告書」と、株式の保有率が1%以上増減したタイミングで「変更報告書」を提出しなければなりません。
これは、株式の大量購入や大量売却が株価に与える影響が大きいことから設けられた措置です。
IPO投資に参加する際は、「大量保有報告書」で大株主の存在を事前に確認しておきましょう。
なお個人投資家は、EDINETから「大量保有報告書」や「変更報告書」の内容を確認することができます。
初値での売却を心がける
ベンチャーキャピタルの目的の多くは、投資先の株価の値上がり益を獲得することです。
IPO時に初値が公募価格を大きく上回った場合、ベンチャーキャピタルは保有株式を大量売却することで利益確定に動くでしょう。
株式が一度に大量売却されると、供給が需要を大きく上回ることで株価が下落してしまうおそれがあります。
初値が高くついた場合は、さらなる高値更新を期待したくなりますが、最初のうちはなるべく初値での売却を心がけましょう。
まとめ
今回は、上場企業の株価に大きな影響を与える存在である「ベンチャーキャピタル」について説明しました。
- ベンチャーキャピタルとは、未上場の企業に投資をおこなう投資会社のこと
- 上場後に高値をつけた段階で、株式を大量に売却し値上がり益を獲得する
- IPO投資の際は、株価の急落を想定し初値での売却を心がける
- ベンチャーキャピタルの持ち株比率が高いときは、目論見書で「ロックアップ条項」を確認
- 「大量保有報告書」や「変更報告書」で大株主の動向をチェックすることができる
大株主にベンチャーキャピタルの名前がある場合は、なるべく初値での売却を心がけましょう。
また、IPOセカンダリーに参加される際は売買のタイミングが非常に難しいため、「目論見書」や「変更報告書」をしっかりと確認しておくことをおすすめします。