IPO投資は勝率の高い投資方法として人気がありますが、まれに「公募割れ」を起こすことがあります。
公募割れを起こしてしまうと、IPO投資の定石である「初値売り」が失敗してしまい良い結果を残すことができません。
今回は、IPO投資の唯一の注意点といっても過言ではない公募割れの原因に迫っていきます。
目次
IPO株が公募割れになる原因
IPO株が公募割れを引き起こす原因は大きく3つにわけられます。
東証一部/二部に上場
東証の一部や二部に上場する企業はすでに成熟しており、将来性を感じて投資をおこなう投資家が少ない傾向にあります。
また、会社の規模が大きくなってしまいJASDAQやマザーズに上場する銘柄に比べて需要が分散されてしまうので、公募割れの可能性が高くなってしまいます。
再上場案件
再上場案件とは、上場を廃止していた銘柄が再度IPOをおこない上場することを指します。
これらの銘柄は不祥事などが原因で上場を廃止されることが多いため、マイナス要因がある状態からのスタートとなってしまいます。
また、一度上場している企業のため今後の成長を期待できない点も、投資家の需要が集まらない原因のひとつと言えるでしょう。
景気/他銘柄など外的要因
IPO銘柄の初値は国内市場の景気にも左右されます。
2020年の3月は、コロナ不況の影響で上場した24社のうちなんと18社が公募割れを起こす事態となりました。
また、年末にIPO銘柄の上場が重なる「IPOラッシュ」時には投資家の需要が分散され、良い初値が付きづらくなるため注意が必要です。
IPOラッシュについての詳しい内容は以下の記事を参照
公募割れの例
ここで、実際に公募割れをしてしまった銘柄とその原因について触れていきます。
銘柄によって公募割れを起こす要因は多岐にわたります。
ソフトバンク(9434)
ソフトバンク株式会社は、東京都に本社を置く通信事業会社です。
親会社のソフトバンクグループが有名ですよね。
ソフトバンク株式会社は2005年に一度上場を廃止していましたが、2018年に再上場を果たします。
公開規模が2兆6461億円の超大型案件ということで上場時には多くの注目を集めていましたが、初値は公募価格の1,500円を下回る1,463円をつける残念な結果となってしまいました。
ソフトバンク株式会社が公募割れを起こしたマイナス要因は以下の通りと考えられています。
- 再上場案件
- 公開規模が大きい(2兆6461億円)
- 新規公募株が少なく、売出し株が多い
- 東証一部上場
雪国まいたけ(1375)
株式会社雪国まいたけは、新潟県に本社を構えるきのこ類の製造・販売業者です。
社名についている「雪国まいたけ」は、スーパーでも売られている人気商品ですよね。
株式会社雪国まいたけは不祥事が原因で2015年に東証を上場廃止となっていましたが、2020年に東証一部に再上場しました。
再上場の結果は、公募価格が2,200円のところ初値は2,100円と公募割れを起こすこととなりました。
雪国まいたけが公募割れを引き起こした原因は次の3つです。
- 再上場案件
- 新規公募株が少なく、売出し株が多い
- 東証一部上場
同時に上場していた他銘柄は順調に初値をつけていたため、景気が問題であることはなさそうですね。
公募割れしない銘柄選びのポイント
ここでは、公募割れを起こす銘柄を選別する方法をお伝えしていきます。
負けづらいIPO投資の勝率を更にあげ、確実に利益を獲得しましょう。
公募価格が仮条件の上限でない銘柄は避ける
先述の通り、IPO投資はたいへん人気の投資方法です。
そのため、IPO投資の参加に必要な「ブックビルディング」には、多く投資家が仮条件の上限いっぱいで応募します。
公募価格はブックビルディング時の設定金額を参考に付けられるため、ほとんどのIPO銘柄が仮条件の上限いっぱいに公募価格を設定することになります。
反対に、公募価格が仮条件の上限でない場合は投資家の需要が集まっていない証拠と捉えることができるので、そのような銘柄には投資することを避けたほうがよいでしょう。
マザーズやJASDAQに上場する銘柄を狙う
IPO銘柄が上場する株式市場は、上場する際に条件があります。
以下は、東証一部・二部・マザーズ・JASDAQの上場基準の一部を抜粋したものとなります。
市場 | 上場時の見込み株主数 | 流通株式数 | 時価総額 |
東証一部 | 2,200人以上 | 20,000単位以上 | 250億円以上 |
東証二部 | 800人以上 | 4,000単位以上 | 20億円以上 |
東証マザーズ | 200人以上 | 2,000単位以上 | 10億円以上 |
JASDAQ | 200人以上 | ー | ー |
公開規模が多くなればなるほど投資家の需要は分散し、公募割れのリスクは高くなります。
その観点から考えると、東証一部や二部に上場する銘柄への投資は避けたほうがよいでしょう。
その点、マザーズやJASDAQに上場する企業は、ベンチャー企業が多いことから今後の成長が期待され、投資家の需要が集まりやすいのでとてもおすすめです。
株式市場についての詳しい内容は以下の記事を参照
再上場案件は避ける
現在までに再上場した数十銘柄のうち、その多くの企業が公募割れを引き起こしています。
サンプル数が少ないため確かなことは言えませんが、これらの企業に無理に投資をする必要は無いでしょう。
公募割れのリスクを減らすためにも、なるべく初上場銘柄の抽選に申し込むようにしてください。
まとめ
今回はIPO銘柄の危険要素「公募割れ」について紹介しました。
公募割れは、上場する企業だけでなく国内景気や他銘柄の上場状況に応じて発生することがわかりましたね。
IPO投資の唯一のリスクとして考えられている公募割れですが、しっかり調査することで失敗を避けることもできそうです。
他の投資家の考えを分析したうえで、需要が集まりやすい銘柄に抽選を申し込むようにしましょう。
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